獣医さんのお仕事
前回のお話はこちら。
10月22日。
ついに、リアンの健康診断の日がやってきました。当日は朝から雨…。しかも、スタート時間にはさらに土砂降りになる雨予報。
機器が雨にやられないようビニールで個々に覆い、麻酔薬の準備。上手くトレーニング通りに注射できるか、ドキドキ。
どのような動物であっても麻酔をかけるということは、動物の血液循環や呼吸、意識などを意図的に制御してしまうので、ある程度緊張感はあります。さらに、猛獣となると、完全に眠ってもらうまでは触ることができないため、私の緊張は増してしまいます。
この緊張感がリアンに伝わらないように。いつも通りにと自分にも言い聞かせつつ。いよいよスタート。
練習で使っていた生理食塩水は注射しても痛みはないですが、本番の薬にどうリアンが反応するかは、わかりません。一回目で失敗してしまうと、なかなかリセットは難しいので一発で…と願いながら。。
いつも通り座って、肉を見せながら
「ぷすっ」
半量入ったところで急に立ち上がってしまい、慌てて針を抜きました。
痛かったのか??大丈夫か?と心配しましたが、少し歩いてまた戻ってきて座ってくれました!!
何とか肉を食べさせずに残り半量を入れることに成功しました!!
すごい!リアン!!
麻酔がしっかりかかったのを確認していよいよ目的の健康診断です。麻酔時間は短い方が身体への負担は減るため、麻酔がかかってからは時間勝負です。できるだけすばやく目的の検査・処置を行います。
事前に細かく手順は決めていますが、チームワーク力を活かし、できる処置は同時並行で一気に進めていきます。
超音波検査
レントゲン検査
血液検査や尿検査などなど、人の健康診断と項目は同じです。
あとはひたすらリアンの身体を触りまくって異常がないかを確認。ふだん触れないので、大切な触診です。
また、口の中から耳の中まで見まくります。大切な視診です。
そして、覚醒させる薬を打って麻酔から覚めるのを待ちます。
無事に覚めてくれるとやっと緊張が解けます。
(↑覚醒後にもう一度寝たリアン)
幸い、今回の健康診断で大きな異常は見つかりませんでした。
健康診断は病気の早期発見のために大切です。しかし、頻繁にできるものではありません。麻酔をかけての健康診断よりも日ごろのちょっとした変化や違いに気が付く飼育員の観察力により、早く発見できることもたくさんあります。早く発見できればすぐに対処もできます。
これからも飼育員と一丸となって、リアンがより活き活きと生活できるよう日々努力していきたいと思います。
二井