獣医さんのお仕事
プレーリードッグのお部屋をのぞくと2020年生まれのまるまるとした個体たちに混ざり、ひと回り小さな個体が2頭います。“ごぼう”と“レタス“です。
“ごぼう”は2016年2月17日生まれ、
“レタス”は2016年3月3日生まれ。
プレーリードッグは野生での寿命が3〜4年で、長くて5〜6年といわれており、飼育下では8年以上の長寿個体もいますが、共に7歳の“ごぼう”と“レタス”も高齢のおじいちゃんと呼べる年齢になりました。
今回は”ごぼう”についてお話ししたいと思います。
”ごぼう”は今まで大きな病気をすることなく過ごしていました。
しかし、今年の3月に首回りの皮膚がかさかさになってしまいました。痒みがあったため、一般的な皮膚疾患を疑い試験的治療を行うもすっきりとは治りませんでした。4月、急速に大きくなるしこりと発疹ができてしまいました。そのため、緊急手術、麻酔をかけてしこりを切除し、詳しい検査を依頼しました。
手術後は“レタス”と一緒の部屋で過ごしてもらいました(左:レタス、右:ごぼう)。術後もすぐにごはんを食べていました!その様子はこちら( 獣医だより40_動画1.mp4 )
検査の結果、皮膚型リンパ腫という悪性腫瘍(癌)であることが判明しました。
残念ながらプレーリードッグでの完治は難しい病気です。手術の後、結果を待っている間にも皮膚の状態は急激に悪化し、既に体のあちこちのリンパ節がひどく腫れあがり、全身の痒みも強くでていました。このまま何もしなければ先が短いことはわかっていましたし、せめて強い痒みだけでも和らげてあげたいとの考えから、完治はできないけれど、できる限りの投薬をすることに決めました。
もちろん、ごぼうの体調を見ながら、無理のない範囲での投薬です。
現在、治療に反応してぼこぼこの体表リンパ節や発疹は落ち着き、痒みも治まってきました。しかし、抜けてしまった被毛は戻りそうにはなく、さらに治療開始後から体重がかなり落ちてしまい、やせ細ってしまいました。寝る時間も以前より増えていますが、毎日ごはんを食べ、仲間たちと一緒に外へでたり中に入ったり自由に動ける状態です。
お客さまのご寄付で頂いたとうもろこし、2頭ともすごい勢いで食べていました!(左:レタス、右:ごぼう)動画はこちらから( 獣医だより40_動画2.mp4 )
これからも痛みや痒みがないかなど、しっかりと診てケアしていきます。脱毛とやせたことで目立っていますが、できれば最後まで群れの一員として、そして群れの仲間と共に過ごして欲しいと願っています。
子供たちに乗られる“ごぼう”
左端が“ごぼう”です。毎日みんなでくっついて寝ています。
どうか皆さまにも”ごぼう”のことを見守っていただけると幸いです。
二井