獣医さんのお仕事
先日、お客さまから「マスクを落としてしまい、一番小さいリクガメが食べてしまった」という連絡がありました。
急いで一番体が小さいオカメの元へ駆けつけました。「どこかで引っかかってくれてたら取り出せる…」との思いから、口の中を覗きましたが、跡形もありませんでした。
体の大きさからも、そのまま便と一緒に排泄されるだろうと予想されました。しかし、マスクが詰まってしまう可能性もあったため、その日からいつもにも増して、食欲・元気、排便状態の観察を厳重に、そして、毎日便の中にマスクが入ってないかを確認してもらうことに。
6日後…
便と一緒にまるっと出ました!無事に出て、本当に安心しました。
今日は、このお話をきっかけに、私たちが出す”ゴミ”のお話を少ししたいと思います。
園内を歩いていると、残念なことにさまざまなゴミと出会ってしまいます。見つけたスタッフは必ず拾います。風で飛んで動物たちの部屋へ入ってしまい、食べ物と間違って食べてしまうかもしれないからです。今回は無事に出てきてくれたのでめでたしめでたしの話でしたが、いつもこうとは限りません。食べてしまったゴミが消化管を傷つけてしまう場合や、消化管の中で詰まってしまい最悪の場合は命を落とすこともあります。園内で多いゴミは、園内マップやお菓子の袋、輪ゴムなどなど…きっと気が付かずに落とされてしまったのだろうな、というものばかりです。わざと与えるなんてもってのほかですが(…念のため。動物たちのエサは健康を守るためにしっかり管理しています。園内には動物が食べてはいけない植物や実もたくさんありますし、人の食べ物ももちろん危険です。くれぐれも、決められた売りエサとその対象動物以外には与えないでください。)、万が一、変な物を食べてしまっている姿を見かけた方はすぐにお近くのスタッフか園(093-651-1895)まで連絡して頂けると、今回のオカメのようにしっかりと対処ができるため助かります。
さて、このゴミを食べてしまう動物たちの話、実は地球規模で大問題になっていることをご存知でしょうか?街を歩いていて…道路を走っていて…ゴミ、見かけますよね。そのゴミが風や雨で流され、川にたどり着き、さらに流れて海へ。。
ゴミは多くの生物に悪影響を及ぼします。特にプラスチックは耐水性に優れとても便利で安価な素材です。しかし、プラスチックごみは分解されるまでに1000年以上かかるとの研究があり、いったん海に入り込むと環境にとても長い間影響を与えることになります。紫外線や波の影響を受けて小さくなっても細かいプラスチックの粒子(マイクロプラスチック)となり魚たちはじめ多くの生物の体内に蓄積されていきます。また、海に漂うビニール袋やプラスチックごみをクラゲと間違えて飲み込んでしまうウミガメの被害は深刻です。
海洋プラスチックごみ ゴミとウミガメ 海洋汚染
などで検索してみると悲しい画像がたくさんでてきます。一度、調べてみてください。
私たちにできることは何でしょうか?
ポイ捨てをしない!
決められた時間と場所にゴミを出す!
ゴミを落とさないようにする!
それに加え、”使い捨て用プラスチック”の利用自体を減らしていくことも重要です。例えば、マイバック、マイボトル、マイ箸を持ち歩くことで、レジ袋やペットボトル、プラスチック袋に包まれた割り箸の利用自体を減らすことができます。
すぐには解決できる問題ではありませんが、動植物豊かな地球を残すには、一人ひとりができることを実践していく必要があるのではないでしょうか。
二井