獣医さんのお仕事
久々の獣医だよりになってしまいました。
今回はプレーリードッグのプクのお話です。去年の12月に下顎の腫瘍を摘出したプク(前回のお話は9、10)。
その後も、毎日の体重測定と再発がないかの確認を続けてきました。(↓体重測定の様子)
キレイに被毛が生え変わらず少しボサボサ。また体重も増減を繰り返すものの800g以上にはならず、他個体よりもひとまわり小さいです。しかし、心配していた下顎の腫瘍再発もなく、特別メニューのごはんを食べさせるために別のお部屋に入れていても、ごはんに満足すると「外へ出ます!」と訴えてきます。(↓3月のプク)
そのような姿に、少し安心していたのですが、
8月に入り、急激に体重が落ち、ごはんの食べも落ちてきました。
8月14日、レントゲンと腹部の超音波検査、血液検査をした結果、肝臓が悪化していることがわかりました。(↓超音波検査画面)
プクは現在、10歳5ヵ月。野生でのプレーリードッグの寿命は3~4年、長くて5~6年と言われています。飼育下では8歳以上の個体も増えているとはいえ、高齢なことは間違いありません。
プレーリードッグは肝疾患が多い動物種として知られています。肝疾患と言っても、様々な病気があり、さらに詳しく診断するには肝臓の一部を採って調べる方法があります。しかし、現時点での検査結果を総合的に診断し考えられる病気は、たとえ診断できたとしても完治はできないものです。また検査によるプクへの負担を考えると、これ以上追及するよりも、少しでもストレスの少ない環境を整え、仲間たちと最後まで過ごしてもらいたいと考えています。現在、プクは肝臓の保護剤のみ投薬しつつ、栄養価の高いごはんを食べられるように工夫して様子を慎重に見ています。
他個体に比べて動きがやや弱いですが、プレーリードッグ舎でプクの姿を見られた際には、どうかそっと見守ってください。(悪天候の日や栄養価の高いごはんを与える時間はご覧いただけないことがあります。ご理解ください。)
(↑8月、左が仲間と外で過ごすプク)
二井