獣医さんのお仕事
5月21日にアライグマのチロルが天国へ旅立ちました。
この獣医だよりでも何度かお伝えしてきたチロル。
(↑私を見て「えっまた来たの?」と言われた気がした瞬間)
5月に入り、体重が次第に落ちて行き、寝ている時間も格段に多くなっていきました。身体もずいぶん小さくなってしまいました。
(↑外に出るのを待っているチロル)
(↑すてきなお尻姿)
天気の良い日はお散歩して、お気に入りの木の根元で寝たり、土の上を歩いてみたり。しかし、小さな身体かつ被毛の色も獣舎に溶け込むため、ぱっと見てどこにいるのかわからないチロル。アライグマ舎を通る度に「今日は出ているかな?どこにいるかな?」とチロルの姿を探すのが日課になっていました。
(↑身体はぽかぽか、頭はひんやり?)
5月19日もチロルはマイペースに外をお散歩。繁殖シーズンのカラスが休園中で人通りが少ない園内をウロウロしているため、「チロルのために、カラス除けネットが必要だ」と話していたばかり・・・。
20日は雨が酷かったため、寝室にいてもらいましたが、ごはんも口にしていましたし、排便もありました。
ごはんを食べてお水を飲みに行く途中だったのかな?そんな最後の姿でした。
肉眼解剖所見の結果、死因は老衰と診断しました。
振り返るとチロルには何度も良い意味で裏切られてきました。
急にふらつき数日で悪化した際、担当者と一緒にチロルを見守りながら「今夜が山かもしれない…」としんみりしたのが去年の7月。
獣医として予後の推測を誤るなどまだまだ勉強不足・・・精進しなければと反省もしますが、何度も「チロルの体で何が起こっているのかがわからない」と嘆くほど、奇跡の回復を見せてくれました。特に、数日まともに食べられなかったのに、ある日「お客さんにペレットもらって食べていたよ」と聞いた時は本当に驚き、チロルらしいなと笑ってしまいました。
(↑チロル:「ここからカリカリのごはんくれないかな」)
生きる力ってすごいなぁと何度感じたことか。
(↑前回お伝えした術創もキレイに治っていました。バンザイしてもらって診察しているところ。)
(↑まだ「あっそこで寝ていたのね」と言いたくなってしまう面影を残した獣舎。)
来園して頂き、チロルの前で私に「チロルに会いに来たんです。」と声をかけて下さったご夫婦の方をはじめ、多くの方に応援し、見守って頂き本当にありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。
(↑若いころのチロル)
本当に長生きしてくれてありがとうチロル。天国でもマイペースにチロルらしく輝いてね。
二井