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獣医だより-16- チロルの経過

今回はアライグマ チロルのその後の経過についてお話します。今までのお話は獣医だより11-27をご覧ください。暖かい季節になり、外でウトウトと日向ぼっこする姿を見かけた3月末のチロル↓

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昨年6月の健康診断の際に見つかった胸の体表腫瘤。12月末には3cm大と、徐々に大きくなってきていました。しかし、3月に入ると急激に大きさを増してしまい4月に入ると、いつはち切れてもおかしくないほどの大きさになってしまいました。

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このままでは歩く際に引きずってしまい出血するか、自壊(皮膚が破れてしまうこと)による出血が予想されました。出血してしまうと感染も起こしやすくなります。これから暑くなる時期は感染のコントロールが冬よりも難しくなります。出血してしまってから処置するよりも、早期に切除することにしました。

チロルは胸の中にも腫瘤があることがわかっているため、呼吸抑制や血液循環抑制がかかる麻酔は非常にリスクがある処置です。薬剤投与量を決めるためにまずは正確な体重測定から。

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麻酔薬や鎮痛薬の種類や量も十分に検討し、いよいよ4月6日に手術に踏み切りました。幸い、麻酔中も呼吸状態は安定し、無事に手術を終えました。

翌朝、診察に行くと、ちょうど朝ごはんをもらったところでした。前肢を使いパクパクと食べる姿を見てほっとひと安心。歩様も今までと変わらない様子に、用意していた2種類の痛み止めの薬を1つ減らして経過を見ることにしました。

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手術の2日後の様子↑術創が汚れないように7日ほど腹帯を付けていました。

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数日置きに術創の状態も確認。順調だったため、腹帯もすぐにとれました。

私が注射ばかりするからでしょうが、私が見に行くとよろめきながらも走って逃げようとしたり、処置中には唸ったりすることも。逃げたり怒ったりする気力があることに安心すると共に、少し寂しくなる瞬間ですが、獣医の宿命ですね。

現在、チロルは食欲や動きにムラがあります。午前中は外に出ないことも多く、なかなかご覧いただけない場合もあります。チロルのペースに合わせてしっかり様子を見ております。今後も暖かく見守ってください。

 

二井

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