獣医さんのお仕事
獣医だより15 -鳥たちの移動-
獣医だより 2021年4月13日
暖かくなり、越冬のために日本に飛来していた野鳥たちも北へ戻って行きましたね。3月末に福岡県内で死亡した野鳥も検査の結果、高病原性ウイルスは検出されませんでした。当園でも鳥インフルエンザウイルス感染防止対策のレベルを下げ、感染防止のためにバックヤードで過ごしていた鳥たちは次々と各獣舎に戻っております。
(移動中のフラミンゴ)
ただ各獣舎に移動させるのではなく、捕獲する際には普段できない健康診断をできる限り行います。
特に重要なのが、足の裏のチェック。限られた環境下にいる鳥類は足にいわゆる胼胝(たこ)ができやすいです。(鳥ではこの病気を一般的に”趾瘤症”と呼びます)。また、外傷はないかを見たり、鳥の胸を触り、胸の筋肉の量を評価することで栄養状態が良好かを判断します。
健診を受けて
こもれびの径へ戻ったウズラたち。
さて
この足は誰の足でしょうか‥
答えは
サギの足でした。
また、ホオジロカンムリヅルは採血も行いました。簡単には捕獲することができないため、いざ、調子が悪くなった際にはこの日の数値が非常に参考になることでしょう。
一斉に移動と健康診断を行ったため、現在、私の机の上には大量のデータが山積みになっています。特に鳥たちの足裏写真の数は膨大です。まだしばらく、これらの写真とにらめっこの日々が続きそうですが、いつかの為に、現在の状態をしっかり記録に残すことも重要な仕事の一つです。
補足:渡り鳥たちは少なくはなりましたが、リスクがゼロになったわけではありません。感染防止対策として、園内出入口と獣舎に直接入れるこもれびの径とバードゲージの出入口には靴底消毒マットがあります。出入りの際は靴底の消毒に引き続きご協力ください。
二井