獣医さんのお仕事
今回は、オトメズクロインコのミスのお話です。
1月6日、ミスが急に止まり木に止まらずゲージの床に居る時間が増えました食欲はあるし、ぐったりではない。しかし何かいつもと様子が違う・・ミスとの信頼関係が一番強い飼育員が触ろうとしても噛んだり手に乗ろうとしなかったり、どうもイライラしている様子
動物たちは弱っている姿を隠そうとします。それは野生では“弱る=捕食者”に狙われるからです。動物園の動物たちも同じです。ギリギリまで痛み・苦しみを我慢して隠し、元気な振りを続けます。そして耐えられなくなり、症状として現れた時にはもう瀕死の状態ということも少なくはないのです。
そのため、飼育員は動物たちのほんの小さなサインも見逃さないよう日々観察をしています。食べている量が減った、体重が減った、足が痛そうなどということに気が付くことは当たり前ですが、「何かわからないけどいつもと違う」ということに気が付けるかということは非常に重要です。
(余談ですが、この見逃さない観察力、これは誰にでもできるわけではありませんし、すぐに身につくものではありません。先輩と比べて飼育歴1年未満の私はまだまだ足りないと反省する日々です)
さてミスの話に戻ります。
いつもと違うミス。愛玩動物の犬猫ならば私はすぐに色々な血液検査やレントゲン、超音波検査などをしてみると思います。しかし、相手は鳥、調子が悪い時に検査をしただけでショック死をしてしまうこともあります。
まずはしっかり保温をして様子をみることにしました。まだ1月初旬でウサモルハウスの室温は10~12℃。様々な工夫をして保温を開始。高栄養フードの給餌回数も増やしました。
3日経っても様子は変わらず呼吸状態は安定しており保定すると嫌がる元気はあったため、軽く麻酔をかけてレントゲンと血液検査を行いました。
わかったことは6月よりも肝臓の数値がほんの少し上がっているということのみ。
肝臓が悪いと言い切ることもできないくらいの数値でした。
保温・高栄養フードを続けながら強肝剤をプラス。日光浴をさせてみたり、エアコンのある部屋に移動させてみたり、気をもむこと2週間。ようやく動きが活発になり、ある日ひさびさに水浴びをしました!
結局、何が悪かったのか、はっきりはしませんでしたが、水浴び後の姿を見てやっと安心できました小さな変化を見逃さないよう、これからも慎重に様子をみていきます。