獣医さんのお仕事
昨年からスタートした“獣医だより”を今年は心機一転、「獣医さんのお仕事」に移して連載を続けたいと思います。なかなか、リアルタイムでの掲載ができないこともありますが、できるだけ皆さんにお伝えできるようがんばります
今日は、ヤギのコナユキのお話です。コナユキは現在14歳、群れにいると若い個体に餌を奪われてしまうため、昼間はなかよし広場、夜は16歳のヒナと一緒に群れとは別の部屋にいます
1月13日、朝一で担当者が確認した際は何事もなかったのに、15分後にヤギ舎に戻ってみると・・・
コナユキとヒナの部屋が血だらけになんとコナユキの左角が根本から折れてぶら下がっていました
(↑処置後の角)
ヤギの角は頭蓋骨の一部が突起状になり(前頭骨の角突起)その周りに爪と同じケラチン質の硬い表皮の鞘(さや)がついた「洞角(ほらづの)」という角ですそのため、角折れは骨折と同じです血流が豊富なので、折れてしまうと大量の出血が起こってしまいます止血するには焼かないといけないかと考えながら急ぎ病院へ焼く機械や薬を取りに行き、機械を温めている間に痛み止めと血管収縮剤をかけて必死に圧迫
いざ焼こうとガーゼを取ると…「おっ出血が止まっている!」
それならこのまま包帯を
最後に細菌感染を起こさないように↑抗生剤の注射を打ちました。最初はパニックになっていたコナユキもこの頃には落ち着いてくれました。
幸い、その後に出血することもなく、包帯も気にしてないようです。すぐに包帯を取ってしまうと瘡蓋(かさぶた)が痒くて頭をこすり付けた際にまた出血してしまうことがあります。もうしばらく包帯を付けたまま過ごさせる予定です。
包帯したままでもしっかり食べているので安心して下さいね!(写真、右はヒナです)
二井