獣医さんのお仕事
アリにたかられても夢中で生き物を探す姿・・・。「これぞ研究者魂」を見ました!
2013年6月30日、到津の森公園の郷土の森で「昆虫博士と歩く昆虫発見ツアー」なるイベントを行いました。
こちらは、6月20日から管理センターロビーで行っている「アリの巣の生きもの展」という写真パネル展の関連イベントです。
この企画展は同名の図鑑発行を記念して九州大学総合研究博物館で行った、いわゆる「巡回展」です。
写真がとても綺麗!
「アリ」ではなく、「アリの巣で暮らす生きもの」について、数ミリの大きさの昆虫など、まさにミクロかつマニアック!その知られざる不思議世界に、ちょっとでも見たらついつい最後まで見てしまうこと請け合いです(笑)。
手がけたのは図鑑の筆頭著者である、九州大学の丸山宗利先生。まだお若いにもかかわらず、どんな昆虫のことも良く知っていて、これまで新種も多く発見している、新進気鋭の学者さんです。
そんな丸山先生がタイの調査から戻ったばかりの足で、到津の森公園に来てくれてのイベントです。
迎えた当日は朝から小雨模様・・・少し不安がよぎりましたが、時間前にぞくぞくとご家族連れが来ていただき、20人という、観察ツアーとしてはむしろ満員御礼の参加人数となりました!
しかも昆虫好きのお子さんばかりで、わざわざこのイベントに参加するためにこられた方も少なくありませんでした!昆虫人気根強い!
まずはスライドを見ながらのお話。
アブやハチ、ガの幼虫・・・アリを利用しアリと暮らす数ミリ単位の虫たちの写真が次々と。
丸山先生曰く「昆虫の世界ではカブトムシやクワガタムシなどの大きな昆虫はほんのわずか。ほとんどの昆虫は、もっと小さな体をしています。」(そこに先生は魅力を感じるのでしょうか?)
小学校も行かないくらいのお子さんたちもじっと耳を傾けています。
そして、いよいよ虫かごを持って郷土の森へ。
と、会場を出てすぐ前の木の根元をいきなり掘り出し、あっと言う間にアリの巣を発掘!
見ると丸山先生の手にアリが次々と!!
わ~!わ~っ!
が、全く動じることなく、先生は持参のバットにアリの巣ごとひっくり返して真剣に見ています。そして何か見つけて、お子さんたちに見せています(それが何だったかは取り囲むお子さんたちや、あまりに小ささに私には見えず・・・)。
みんな興味津々!
むしろ私は、見つけた生き物よりも、アリにたかられている丸山先生の腕の方が気になりました。子どもたちも気づいて、うわ~っ!と、びっくりしています。しかし、丸山先生がたかってくるアリを気にすることは最後までありませんでした(笑)。
その後も朽木などを見つけると一直線、持参のクワで朽木を割っては夢中で探していました。参加者一同、先生について行こうと必死です!
今さらこんな場所の昆虫など先生は見飽きているだろうに・・・?その昆虫への熱意とあくなき探究心にびっくりです。
お子さんたちもいつしかそのオーラに引き込まれ、いろんな虫を自分たちで夢中で見つけては先生に名前を聞いていました。
参加された保護者の方が、ふと「先生が夢中で虫を探している様子、うちの子どもたちと全く同じ・・・」とつぶやきました(笑)。
そうか!先生は自書にも書かれていますが、子どものころから昆虫の世界にのめりこんでそのまま今が続いている、つまり今でも昆虫少年そのままなんだ!
以前聞いたところでは、一日中地面に腹ばいになって蟻の隊列を観察し、その中にごくごく稀に紛れている「アリになりすました昆虫」を発見しているそうです。
そして、夜になってどんなに調査で疲れても、大好きな昆虫を発見すると疲れが吹き飛ぶとか・・・。
私は正直、昆虫の魅力がわかりません(笑)。けれど、並々ならぬ丸山先生の姿勢や熱意に感動しました。そして、私と同じように参加されたお子さんたちもきっと、見つけた昆虫以上に先生の姿が何よりの発見だったのでは、と思います。
丸山先生、本当にありがとうございました!
一流の研究者魂に触れるイベント、なんだか癖になりそう(笑)。
※「アリの巣の生きもの展」は7月15日まで管理センター2階ロビーにて開催中です。
ぜひぜひお越しください!
獣医師 外平友佳理