獣医さんのお仕事
6月10日。小倉南区の警察官に保護されて来たのは「アナグマ」。目はすっかりあいていますが、こんなに小さな幼獣はこれまで来た中で初めて。
生後2週間を超えたくらいです。保護された経緯を聞くと「子どもたちが取り囲んでいた」とのこと。
タヌキよりもずんぐり丸く、白いすじのある鼻に、大きな手足。子どもたちが、もの珍しさに集まってきたのもうなずけます。
メスだったのでここにいる間は「クマコ」と名づけられました。
初めはうなって警戒していましたが、哺乳瓶からミルクを飲むことを覚えると、お腹が空いている時だけは、後ろからよちよちついてくる様になりました。
いずれは野生に戻すとは言え、このかわいさには癒されます。
そして6月21日の雨の日。近くの側溝で濡れて鳴いていたタヌキの子どもがいたと、連れてこられたのはまたもやアナグマの赤ちゃん。
クマコよりも少し小さいけれど、やはりちょうど目が開いて動き出す時期。
体は乾かしてもらったため、すっかり乾いていますが、お腹が減っているようで鳴いています。
よくよく聞けば普段は濡れない場所にいたようです。親もきっとさがしているでしょう。チャンスがある以上、戻すほうがこの子のためです。保護された方もやはりその方がいいと納得していただきましたが、やはり心配なのは私も同じです。
せめてミルクを与えておこうと、哺乳瓶で飲ませると、クマコよりも上手に一気に70CCほど飲んで、そのまま腕の中で眠ってしまいました。うっかり情が 移ってしまいそうでしたが、母親のところが一番です。保護された方は「心配で今夜は眠れないかも知れません」と言われながら、戻しに行かれました。
それから1時間後に電話が鳴りました。「行ったら母親が待っており、すぐに一緒になりました。帰して本当に良かったです。」
ほっとしました、おかげで私も眠れそうです。
人間の主観ではなく、いかに、野生動物、自然の側に立つことが出来るか、いつもジレンマの日々ですが、今日は本当にいい結果となりました。
あとはクマコです。いずれ彼女も野生で生き抜いてほしい、そのために出来ることを頑張ろう。癒しをくれたお返しにも。