獣医さんのお仕事
4月10日、今年初のヒナが保護されて持ち込まれました。「スズメ」です。
巣から落ちていたとのことで、ほとんど無毛です。右に少し傾き、顔が腫れてクチバシもわずかに怪我しています。
元気なヒナであればピーピーと鳴いて餌をねだりますが、全くその様子はなくかなり弱っています。
ヒナにとって大事なことは保温と絶え間ない給餌。その上、保護されるケースではほとんどが脱水を起こしています。
まずは保温しながら、経口電解質液(ポカリスエットのようなもの)を与えます。間違って気管に入ると危険なのでチューブを胃まで確実に入れて与えます。
少し元気が出てきたらふやかしたドッグフードにビタミンをつけて与えます。最初15分~20分おきくらいに何度も。飲み込んだ餌が食道を通っていくのと、胃が膨らんで動くのが見えます。
慎重な手当てを続け3日目、次第に元気になりピーピーと口をあけて餌をねだるようになりました。
そして、3週間。羽も生えそろいスズメらしくなってきました。
自分でえさを食べようとする時期です。ここも第二の心配な時期です。餌をねだっても口を開けず、自分でつついてみるものの、飲み込むことが出来ないからで す。他の鳥が食べている様子を見れば早く覚えますが、今年初めてのスズメくん、お手本がまだいません。ちゃんと食べれるようになるまでは無理にでも口の中 に入れてやらなくては衰弱してしまいます。
ここを乗り越えればもう大丈夫、これからたくさんのヒナたちが運ばれて来るときに彼が「お手本」となってくれるでしょう。
GWも始まり、お客さんの多い中、ちょっとだけお子さんたちにお見せしました。お子さんたちは手のひらに乗ったスズメを大事そうに包みこんで持ってくれます。小さな体に秘められたいのちです。
「ミミちゃん」あるお子さんが名づけました。
新たなヒナたちの先生として、いのちのメッセンジャーとして、あともう少しだけここにいてね。