獣医さんのお仕事
その名も「カンガルー病」
動物のからだ 2006年8月21日
カンガルー病経験者;左あご(ひびき動物ワールド)
以前も書きましたが、4月から週1回ひびき動物ワールドでカンガルーやウォンバットの診察を行っています。
そして、その中でも厄介な病気のひとつに到津の森公園にはないカンガルー特有のものがあります。その名もずばり「カンガルー病」。カンガルーや小型のカンガルーであるワラビーに一般的に見られる病気であることからこの名前がつきました。
簡単に言えば顎の骨が化膿してはれる病気です。ひどくなると化膿がひろがり、餌が食べられなくなって死んでしまうこともあります。原因はいくつか言われ ていますが、乾草などの硬いものを食べたときに、刺さったり歯にはさまったりして虫歯や歯茎が化膿したり、歯の生え変わりに食べ物が詰まって化膿すること からです。カンガルーはもともとやわらかい草を食べており、また非常に傷口が化膿しやすい特徴があることが関係しています。
骨がはれると元にはもどりません。日々の衛生管理と食事管理で予防することが1番です。あとは化膿を止めてえさが食べやすくすることが重要で、これが結 構大変です。10日以上の毎日注射と消毒、時には手術も必要に・・・。でも、食欲が戻って元気に食べ出すと本当にほっとします。
ひびきのカンガルーたち、顔が片方はれていたら、それはきっとカンガルー病経験者ですよ。