獣医さんのお仕事
台風で森の素晴らしさを思う
獣医さんの日常 2004年10月 8日
私が到津の森公園に来て4年目。これほど台風の影響を受けたのは初めてのことです。
台風18号が最も接近した9月7日の翌日。出勤してまず驚いたのが動物病院の前にあるシイの木の大きな枝が折れ、フェンスが曲がっていた事でした。桜の木の太い枝も折れたままぶら下がっています。
園内を回ります。幸い動物たちとその獣舎にはそれほど被害はないようです。とりあえずほっとしたものの、サバンナエリアではミモザが数本倒れ、さらにその先のマンドリル舎の横では、直径1mほどもある大きなヤマモモの木が引き抜かれる様に倒れていました。
しかし、森のほうはもっと悲惨でした。里山ゾーンのビオトープではシイの大木が池をふさぐ様に倒れていましたし、ヤマモモの大木や、桜の木がいくつも倒れていたのです。
春には花天井を作る桜、梅雨には動物たちの大好きな赤い実をつけるヤマモモ、そして今、倒れたシイの枝先にはたくさんの実が出来ていました。
次第に森を歩く足どりは重く、胸がいっぱいになりました。でも、よく見ると木々の中には昔の折れた跡や切り株がある事に気付きました。
倒れた木の場所は日が明るく差しています。こうして森は再生するんだ。
到津の森公園、動物だけでなく生きているこの森もやっぱり素晴らしいのです。