獣医さんのお仕事
シマウマのシマを守る
動物のからだ 2004年8月21日
目の下がうっすらと黒ずむハッピー
暑い上に湿度も高い日本の夏。暑くても乾燥したアフリカの動物たちにも、このむっとした暑さは苦手なようです。
シマウマもそのひとつ。
梅雨の終わり、シマウマのメス「ハッピー」を見てほしいと担当者に言われました。見に行くと顔に黒っぽい部分があります。
シマウマの地肌は実は黒。つまり毛が無くなると黒になります。
ハッピーの左の頬にうっすらと円形の脱毛が、さらに注意深く見ると目の下と口元の毛も薄くなっています。どうも真菌症のようです。
真菌、つまりカビはどこにでもある菌ですが、皮膚の抵抗力が低下したり、傷口などから濃厚に感染した場合などは、真菌が皮膚で増殖し、その部分が脱毛する病気です。
放っておくと全身に広がる場合があります。本来なら検査をして確認した上で治療を行いますが、なんせ相手はシマウマです。触ることもままなりません。円形の脱毛、そして高温多湿なこの時期、最も可能性が高い、真菌症に当たりを付け治療を始めました。
長期間の治療が必要なこの病気、2週間もの間担当者は薬をニンジンに埋め込み飲ませ続けました。
そして、ハッピーの顔は徐々に毛も生え、もとの綺麗な縞が戻ってきました。やっぱり真菌症でした。
カビの生えやすい日本の夏、シマウマの縞も危うく無くなる(?)ところでした。