獣医さんのお仕事
換毛スタイルいろいろ
動物のからだ 2004年7月29日
換毛中のロバの「スギ」
蒸し暑くなってきました。この時期、特にアライグマやロバをはじめ、動物たちのいつもと違う姿が見られます。
毛が部分的に短くなっていたりボサボサになっていたり。なんともみすぼらしい姿。
目ざといお客さんからは「あのアライグマ、病気みたいよ」とささやく声も。
実はこれ「換毛」といって動物たちのいわば「衣替え」なのです。人と同様、動物たちも夏に備えて「薄着」になります。
けれど、衣服ではなく被毛を着ている彼ら、服を入れ替える様に簡単ではありません。長く密生した冬毛から、短くまばらな夏毛に生え変わらなければなりません。
皮膚や被毛は複雑なホルモンのバランスで正常を保っています。その為高齢や病弱な動物では、換毛が上手く進まずいつまでもボサボサの状態が続く事があります。
しかも大量に抜ける被毛を毛づくろいし、飲み込む事で胃腸障害を起こす場合もあります。
これもまた、日々の観察と見極めが重要です。激しい脱毛を伴って自然に生えそろう個体や皮膚病を起こしやすい個体など、次第に個々の動物の換毛スタイルが分かって来ました。
さっぱりと夏毛になった動物たちはさすがに涼しそうです。四季があるからこその変化、これもまた楽しみの一つかも。