獣医さんのお仕事
サルの進化を感じて
イベントを通して 2004年7月31日
ワオキツネザルになりきってリンゴを掴む参加者
人差し指と親指で輪を作ってみてください。これが、霊長類の証。
太古の昔、ネズミに似たサルの祖先は「木の枝をつかみやすい手の形」をしていました。「指の対向性」といい、親指が人差し指と離れて向き合うことです。
こんな話をするのは、先日ボランティアの方によるワークショップに参加したからです。到津の森公園にいるサルたちを題材に、その進化を体験しようというものでした。
原猿の仲間、ワオキツネザルは祖先と同じ長い鼻を持ち嗅覚が鋭い一方、手先は器用ではありません。参加者は紙で作った長い鼻を付け親指以外を布でくるんでリンゴを掴んでみました。
そしてその後進化した鼻が低くて一般的なサルの仲間がニホンザルやマンドリルなどを始めとする真猿類。サイコロを振って出た目の行動、寝る・鳴く・怒るなどの物まねをしました。
最後は類人猿、チンパンジー。箱の中のアメを小枝で取る、石でドングリを割る、など道具が使えることを体験しました。生息域を樹上に選んだ祖先は、世界中で多種多様な進化を遂げました。そしてもちろん、人間もその一つ。
到津の森公園でサルの行動を見ながら進化に思いをはせるのも、楽しみ方の一つかもしれませんね。