獣医さんのお仕事
リー、元気で!
獣医さんの日常 2003年9月 3日
特に思い入れのある動物との別れはつらいものです。
獣医をしている上での別れとは普通は死ぬときが多いものです。その時はただ悲しいのではなくて自分の力が及ばなかったことへの悔しさなどが先にたちます。
しかし、それ以外の別れの時もあります。
先日ワオキツネザルの「リー」が「ブリーディングローン」のため他の動物園へ行きました。ブリーディングローンとは繁殖を目的に、動物園間で動物を貸し借りする制度です。
希少な動物や高価な動物はオスとメスをなかなか揃えることが困難です。そんなときに他の動物園と協力して動物を貸し借りすればお互いに助かるという制度です。
リーは群れの若いオスと度々ケンカし、動物病院の常連でした。そのたび彼にとって私は痛い事をする相手であったはず。けれども、会いに行くと懲りずに寄ってきてくれる、そんな友好的な性格が大好きでした。
とても寂しくなりますが、1頭きりの生活よりも、新たな場所は彼にとってずっと生きがいがあるでしょう。しかも過去に数回子どもをもうけた彼です。 きっと活躍してくれることを確信しつつ、彼とお別れをしました。