獣医さんのお仕事
高齢化の波?!
動物のいのち 2003年6月19日
1月、オウギバトのメスが死亡しました。
かなり急性な経過で、あっというまでした。
動物園では死因を究明するために必ず死亡解剖を行います。伝染病のように他の動物にも影響がある場合は即座に対処が必要ですし、原因を知ることで今後の健康管理に役立てることが出来るからです。
オウギバトを解剖したところ、心臓が肥大しており肺にも炎症が見られました。
さらに死因を確定するため、頼りにしている獣医大学の病理研究室へ精密検査を依頼しました。
結果、直接の死因は大動脈の動脈硬化により動脈瘤の破裂を起こしたためでした。その他の太い血管にも動脈硬化が見られ、その負担により心臓も肥大していたのです。
まさに人間の成人病です。
高コレステロールが主な原因となりますが、オウギバトは果物と雑穀が主食、実に健康食です。この場合は純粋に老年性の変化によるものだと思われます。
園内を見回すと、フクロテナガザルやフランソワルトン、レッサーパンダなど長寿記録に手が届きそうな面々が。いつのまにかここでも高齢化社会が訪れつつあります。
少しでも長く、健康で長生きできるよう努力しなければ。心配事は尽きません。