獣医さんのお仕事
タヌキ山へ帰る
ワイルド・ライフ・レスキュー 2003年5月28日
2月、交通事故で怪我をしたタヌキが持ち込まれました。
タヌキの交通事故は多く、去年は5件ありました。大抵は全身を強く打っており、瀕死であるか多数の骨折を負っています 。
このタヌキも威嚇をするものの下半身をダラリと引きずっています。レントゲンを撮ると、両方の骨盤と大腿骨が複雑骨折していました。骨の整復手術は3時間に及びました。
その生命力の強さに感心する中、タヌキは少しずつ餌を食べ始めるようになりました。
しかし数日経っても左足は力が入らないまま。関節部がかなり損傷を受けており、神経も傷ついているものと思われました。
再手術を行い、あとは長期間のリハビリが待っています。
3月、状況を見ながら少し広いケージに入れて運動を促します。
4月、こっそり隠れて見ていると、よく歩いている様子。
5月、ほとんど正常な歩行になり痩せた体もふっくらしました。
晴れた暖かい日、山深い場所へタヌキを帰しました。重症でかなりの手間がかかっただけに何とも言えない気持ちで最後の別れを告げました。もう、決して車の犠牲にはならないように。