獣医さんのお仕事
開園前のこと。その2~サルたちの事情
獣医さんの日常 2003年4月 9日
大きな鳴き声で注目を集める動物といえば、フクロテナガザル。
「チャン」は到津の地に来て今年でちょうど30年。その間鳴かない日はありませんでした。
閉園中はライオン舎の通路内に設置された移動用の檻が仮の住居でした。
工事の音だけが聞こえる時は静かな彼ら。しかしひとたび人の話し声が聞こえるとたちまち反応して「ホホーウ、ホホーウ!」。
獣舎内に割れんばかりにこだまする声、もちろん会話は不可能に。その為飼育員との打ち合わせは、外へ出てひそひそと話さなければなりませんでした。
アンゴラクロシロコロブスは先に出来たパタスモンキー舎へ仮住まい。慣れない環境の為か、体の毛が薄くなり心配しました。
去年の2月、フランソワルトン「コータ」と合わせてこれら3種類のサルたちが新居の樹冠エリアへ。
今ではフクロテナガザルは鳴くほうが喜ばれますし、すっかり毛がふさふさになったアンゴラシロクロコロブスは気持ちよく日向ぼっこ。
そしてお嫁さん「ハナコ」を迎え仲良く寄り添うコータ。
閉園中を知っているからこそ、今の生き生きとした彼らに何よりほっとする気持ちでいっぱいになります。