獣医さんのお仕事
開園前のこと。その4~新展示場への馴致 ライオン
獣医さんの日常 2003年4月25日
園内はすっかり桜色に色づきました。ぽかぽか陽気の中ライオンはお昼寝三昧。
現在の展示場は、目立たず圧迫感が無いという理由で電気を流したワイヤー(電柵)で囲っています。
ワイヤー自体はさほど強くないので、触るとビリッとする嫌な感覚を覚え込まさなければ、簡単に突き破られます(ただし外に出る事は決してありませんが)。
その為、まず獣舎内に50cmほどの短い電柵を設置し、何度か感電を経験させます。ワイヤーを避ける様になると、次は実際に展示場へ。
何が起こるかわかりません。私は麻酔銃を持って待機です。すぐ横に見えるキリンとシマウマに野生の血が騒ぐかと思いきや、慣れない場所にそれどころではない様子。
茂みに入ったきり動かなくなり、餌で釣ったり音を鳴らしたりしてやっと獣舎へ戻しました。
ようやく馴れてきたある日、「リュウ」が何に驚いたのか電柵を飛び越え崖の下まで降りてしまいました。
幸い自分で獣舎へ戻ってくれましたが、早急に電柵を高くしました。
静電気防止グッズが売れているこの頃、百獣の王ライオンといえどもビリッとするのは苦手な様で。