獣医さんのお仕事
2万分の1の治療
動物のからだ 2003年3月 5日
子ウサギが怪我をしているとのことで飼育員に呼ばれました。
行ってみるとやっと目の開いたくらいの子ウサギが、右頬を化膿させています。往診セットのなかにあった化膿止めをぬります。
実はこの薬、ついさっきゾウに使った残りなのです。
ゾウの「ラン」の右頬には化膿したときに腫れてしまい治ってもそのまま残ってしまった大きなこぶがあります。最近また化膿しだした為、治療してきたばか り。ゾウは体重約3,000kg、治療となれば熟練の飼育員に、動きを静止していてもらわなければとても手に負えません。大量の薬が必要な上に皮膚が厚く 治りもゆっくりで、数ヶ月の治療が必要です。
一方ウサギは皮膚も薄く、特に子どもは再生力も高いため3、4日で完治します。片手でひょいっと持ち上げながら、「この薬ゾウの右頬に使ったものよ。同じ右頬の傷でも君は150gぐらいだから体重差にしてなんと2万分の1の患者さんだね!」
小さなものから大きなものまで、爬虫類から哺乳類まで、みーんな私の大切なかわいい患者たちです。