獣医さんのお仕事
ワクチン接種
動物のからだ 2003年3月26日
2月22日土曜日、いつもより少し早くトラとライオンを寝室へ収容しました。
それぞれ早目に食餌にありつきます。
「ん?今日はなんか変だな?」と思ったかどうかはいざ知らず。
しばらくして担当者とともに怪しい道具を持った人がやってきました。それは私。なぜならこの日はワクチン接種(予防接種)の日だからです。
ワクチンのお話は以前も書きましたがトラとライオンはネコ科だけあってネコの伝染病に感染するため「猫用ワクチン」を年に1回接種します。本来は捕まえて 注射するところですが、何せ相手は草原の王者ライオンと森の王者トラ、とてもそんなこと出来ません。ということで檻越しに麻酔銃を用いて麻酔薬の変わりに ワクチン液を入れて注射をすることになります。
麻酔銃と言ってもライフルのようなものではなくて長い筒のついただけの空気銃です。まずはライオンから1頭ずつ寝室で打って行きます。
ちょうど去年、新獣舎の移動や健康検査として彼らには何度か麻酔をこうしてかけたことを思い出します。そのときは暴れてなかなか狙いが定まらず苦労しまし た。その後はひどく嫌われもして。さて今回は、驚いたことにみんなうなって威嚇はするものの隅でじっとしてくれたのです。おかげで実にスムーズに5頭のワ クチン接種は終了。
どうして?理由を考えると一つ思い当たりました。麻酔をかける際は吐き戻しがあるために前日から絶食をしていました。今回は食事の後。空腹と満腹では気分は違うのは誰だって当たり前、ですよね。