獣医さんのお仕事
ゾウの傷
動物のからだ 2003年1月15日
到津の森公園で一番の人気者といえば?もちろんゾウです。
2頭のメスのセイロンゾウ、「サリー」と「ラン」の見分け方は簡単、左のほほに大きな「こぶ」がある方がランです。
以前、側頭腺という部分が化膿して腫れ、化膿は治ったのですが皮膚がとても厚いゾウですから、外側の皮膚が膨らんだまま残ってしまったのです。
さて、秋からサリーもこの部分が化膿してしまいました。
500円玉くらいの穴がぽっかり開いています。サリーまで腫れては大変、毎日消毒し薬を塗りましたが、なかなか治りません。こんなに大きな体にとってこれ ぐらいの傷、と思いますが、厚い皮膚のこと、なかなか再生しにくいのです。ましてや次第に寒くなり、なおさら血行も悪くなります。
以前も関節炎を患った際に、「ゆっくり治る」生き物なんだと感じました。ならばこちらもそれにあわせようと、薬も長期持続型のものに変更し、毎日の消毒を2日おき、1週間おきへと徐々に延ばしました。作戦が成功しサリーの傷はきれいになってきました。
もう、治療の必要はありません。
いつも診察のとき、ごろんと寝そべりじっと我慢してくれたサリー、ありがとう。