獣医さんのお仕事
ライオンの関節炎
動物のからだ 2003年1月15日
獣医は小児科医と似ているといわれます。
人間の赤ちゃんと同様、動物はどこが痛いのかは言えません、こちらのすることを理解してくれず、抵抗します。でも、動物園の獣医業はもっとやっかい、触ることすら無理な動物ばかりなのです。
さて、うちには「リュウ」というオスライオンがいます。
生まれて14年、人で言えばなんと75歳くらい。確かにたてがみも短く、牙も丸くなってものを食べるにも時間がかかります。
最近寒くなるに従って持病の関節痛が悪化したのか、足をかばうように歩く「跛行(はこう)」が顕著となりました。よっこらしょ、と歩く姿によけい「よぼよぼ感」が増します。
けれども年を取っているとはいえ、れっきとしたライオン。触ったりましてやレントゲンをとるなんて麻酔なしでは到底無理。原因を突き止めることは困難で す。経過や症状から推測して何らかの原因で慢性の関節炎を起こしていると診断し、跛行の目立つときのみ症状を和らげる消炎鎮痛薬を飲ませることにしまし た。
さて、今日の歩き方はどうかしらと、見にいくと本人は暖を求めてロックヒーターの上でお昼寝。昼間はずっとこんな調子。あくまでも動物のペースに合わせることが必要、忍耐と推理のお仕事です。