獣医さんのお仕事
なぜ?繁殖制限中の出産
動物のいのち 2002年12月 9日
10月15日ニホンザルの「キャロル」が出産しました。
久しぶりの赤ちゃん誕生のいいニュース、と言いたいところですが「何で生まれるの??」と、複雑な心境です。
ニホンザルの出産時期はふつう春です。冬も間近のこの時期は自然界では食べ物が乏しくなり子育ては困難です。こんなことは初めてのこと。 それともう一つ、ニホンザルは「繁殖制限」をしているはず。
サル山のスペースを考えると現在の頭数38頭が最も理想的な数で、これ以上多くなると闘争が激しくなったり獣舎も汚れやすくなり病気も出やすくなります。 マッチ棒くらいの小さな避妊剤をメスの背中の皮膚の下に埋め込み、コドモが産まれないようにしています。有効期間は2~3年です。
ニホンザルでは2年前から行っており、今年始めに全頭確認した際、避妊剤の取れている個体がありました。
何故か?ニホンザルはご存知のとおり「毛づくろい」を行います。毛づくろい中相手の背中に「ん?何かあるぞ」と器用に・取・っ・て・く・れ・るようです。
今回のキャロルもそのケースと思われます。
避妊剤が取られるなんて獣医としてちょっと恥ずかしいことですが、かわいい赤ちゃんに免じて許してもらおうかしら…。