獣医さんのお仕事
リーの戦歴
動物のからだ 2002年11月12日
吹く風も涼しく、到津の森公園も秋を迎えました。
見回りをしていると携帯電話が鳴りました。ワオキツネザルの担当者からです。「リーの指先から出血しています、噛まれたようです。」駆けつけると右手の中 指がだらりと半分切れています。群れの4頭のメスを率いるオスの「リー」と、隣で個別に飼育しているもう一頭のオス「ヤシャ」が網越しにけんかしたようで す。
ワオキツネザルは秋から冬が繁殖期、そろそろ恋の季節となりました。
やはり去年の今頃、ヤシャとリーはまだ同じ群れにいましたがメスをめぐって当時1歳であったヤシャがリーからひどく噛まれて大怪我を負いました。それっき りヤシャは個別飼育にしていました。1年後、傷を負ったのはリーの方でした。ヤシャはリーよりも大きなオスに成長しました。
ヤシャを群れに入れ、リーを別にすることにしました。リーの噛まれた指を縫合しようとした際、ん??なんと右手にあるまともな指はこの中指だけ、あとは短くて…過去の戦歴を物語っています。
動物の世界は厳しい。強い個体が子孫を残すという大原則。男はやっぱり、つらいなぁ。