獣医さんのお仕事
キックの割れた嘴(くちばし)
動物のからだ 2002年10月 9日
「雨、降らないなぁ。」
つい先日まで雨の降る日を待ちわびていました。
「キック」の嘴をそろそろ切らなくてはいけないからです。
オウムの仲間のキバタン「キック」は生まれつき下の嘴が縦に裂けています。体の発生はまず脊骨から、そこからぐるっと縦に巻き込むようにして最後に正面真 ん中で結合します。ヒトの鼻の下の溝はその名残。ですからその過程で何らかの障害が起こると結合不全となります。口蓋裂もそのひとつ。キックもおそらく発 生過程で何らかの障害があったものと考えられます。その為上下のかみ合わせが悪く、伸びすぎる為、定期的に切ります。
休園日がしばらくない今、展示が出来ない雨の日がキックの治療日となりますが、なかなか雨が降らず、キックの嘴が見る度に伸びていきます。餌が食べにくそうになって来ました。もう待てない、ということで、展示を特別に見合わせて、嘴を切りました。
でもキックには災難としか思えない様子。通る度に頭を逆立て「威嚇のポーズ」。それまで大人しく撫でられていたのに…とびっくりする方もいて本当に申し訳なくなります。
でも、キック、大好きなひまわりの種、食べやすくなったの誰のお陰?!