獣医さんのお仕事
アナグマくん救急救命!
ワイルド・ライフ・レスキュー 2002年8月 1日
「プーッ、プーッ・・・」内線が鳴ります。
「スズメの雛です。」
到津の森公園は園外の傷ついた野生動物の治療及び保護施設でもあります。
この時期、毎日鳥の雛をはじめタヌキやコウモリの赤ちゃんなど
あらゆる動物が保護されてきます。
そしてまた内線が鳴ります。
「さっきの電話の件です。」
なんでも側溝に落ちていて全身ずぶぬれのアナグマを
何とか助け出したものの、ぐったりしている、
と相談されたのです。
駆けつけると段ボール箱の中で息も絶え絶えのアナグマ。
まだコドモです。
急いで動物病院へ戻り、体がひどく冷たいので熱めのお湯に入れます。
アナグマはじっと目を閉じたまま。
10分ほど経つと徐々に暖かくなって目をパチパチ。
すばやくお湯から引き上げ、ドライアーで乾かします。
時折顔をもそもそ動かしだしました。
普段なら人間の手の中でおとなしくするはずありません。
万が一噛みつかれない様包帯で口輪をします。
点滴など治療開始1時間後、最初はとても弱くゆっくりだった心臓の音も
力強く早くなって徐々に抵抗する様になりました。
もう安心、とカゴに入れたとたん、やっとこの状況に気づいたのか、キュウキュウと母親を呼び、大暴れ。良かった。
翌日には保護された場所へ。
鼻の敏感なアナグマ、きっとすぐに母親が見つけてくれるでしょう。
ちなみに写真は回復後元気いっぱい暴れているところです。
治療中は写真を撮る余裕などないですもの・・・。