獣医さんのお仕事
サリーの足
動物のからだ 2002年7月 8日
いよいよ梅雨入り。雨を喜ぶ動物と言えば、セイロンゾウのサリーとランです。雨が降ると泥遊びに夢中になる彼女たちは、到津に来てもう23年になります。
小学生のころ、仔ゾウだった2頭に何度も会いに来ました。スケッチ大会では初めて見たゾウのうんちに驚き、その絵を書いたことも。それから20年、今では私が彼女たちの主治医。
そのサリーが開園間際に足を悪くしました。ある朝つないでいるチェーンに足を絡めて倒れていました。サーッと顔から血の気が引きました。急いでチェーンを ほどくと起き上がり、何事も無かったかのように歩いて餌もよく食べ出したのです。ほっと一安心。ところがその翌々日になって突然、左の前足を引きずる様に 歩き出しました。
3トンもの巨体だけに、足を悪くすると命取りにもなりかねません。以前務めた動物園にゾウはいなかったため、硬くてざらざらした皮膚に触ったのはこの日が 初めて。手のひらでよく触ると関節のあたりが熱っぽいようです。筋炎だろうと、湿布薬を塗りました。大木のような足なのでその量一日1キロ。
さらに腫れも出て心配は募りましたが2週間後ようやく普通に歩き出しました。
何で翌々日に?と不思議でしたが、泥遊びを楽しむやんちゃな2頭も、人間でいえば50歳以上。人間も急に激しい運動をすると筋肉痛になりますが、年をとると翌日や翌々日に痛みが出ますよね。