名誉園長の部屋
7月2日より9月23日まで直方谷尾美術館で「動物園がやってきた!! のおがたサファリランド」という展示会が開催されています。
そのイベントとして7月6日、作家さんとギャラートークをということで招かれ美術館へ行きました。
「直方谷尾美術館」。初めて参りました。本館はかつての病院を改装し、展示場として新館を設けています。本館の建屋は持ち主だったお医者さんの住居も兼ねていたようで、小さいけれどよく手入れされた庭(陶芸家石原利稔久さんによるヌーの群れが駆けています)、その庭の横に設えた茶室、廊下、戦前に作られたろうゆがんだ板ガラスの戸、展示室にもなっている元応接間、その扉は上部が丸くアーチ状で木製、当然床は木張りです。すべてが最近の「これが美術館ですよ」という作りではありません。
地方の美術館には誰それの有名な作品はないかもしれません。しかしその土地にしかないもの(例えば炭鉱華やかなりし頃に建てられたこの病院ように)は今だからこその地域の宝として価値があります。もちろんその展示も地域(人も含めて)に一条の光を与えようと心がけているようです。
到津の森公園もこの直方谷尾美術館も同じものを目指しているような気がします。それは地域で生きる、地域の力になるということではないでしょうか。なにも大きなものが大きな力を持つのではないと言い続けてきました。小さなものこそ小さなものを大事にし、もっと広い大きな世界を教えてくれるものだと。私たちの目標は地域での生活の質の向上にあります。
直方谷尾美術館を訪れ、同じ志を持つ人々がいるのだととても嬉しく思いました。私も頑張る。
そうそう、展示会の内容をお伝えするのを忘れていました。
新館で開催中の「動物園がやってきた!! のおがたサファリランド」
というのは5人の作家さんによる展示会です。木彫の田代雄一さん、絵画のはるさん、造形の角孝政さん、写真家の本浪隆弘さん、陶芸の石原稔久さん。作品は全部動物がらみ。「動物好きにはたまりません」企画です。夏休みにはぜひこの美術館に足を運ばれて、私たちの動物園とはまた違った雰囲気をお楽しみ下さい。本館も素敵ですから同時にお楽しみを。
追伸
直方の商店街はシャッター通りになっているようですが、戦前炭鉱で繁栄した建物があったりととてもいい雰囲気を残し、探して歩くにはなかなか素敵な街です。と、かく言う私も地方・地域に対する認識を新たにしなければなりません。