名誉園長の部屋
紡ぐ
2012年5月19日
到津の森10周年は「紡ぐ」というテーマです。
「紡ぐ」というのは綿や繭を糸撚車(いとよりぐるま)にかけて、繊維を引き出し、撚りをかけて糸にすることだそうです。細い糸に撚りをかけて太く強い糸にする。
この「紡ぐ」というテーマにそって、北ゲートを入って直ぐの右手に私の10周年のご挨拶を掲載していただいています。
それはこんな文章です。
「この10周年を機に『いとうづのもりがたり』を開催することになりました。市民の皆様と『いとうづ』の記憶を紡ごうという企画です。到津遊園から続く歴史が縦糸ならば私たちの気持ちは横糸かもしれません。その布は北九州市民ばかりでなく人々の心を暖めることができると信じて織り続けていこうと思います」。
先日、中島みゆきの「歌旅」というコンサートの模様を劇場用映画にしたものを見に行きました。この中で歌われる「糸」という歌詞をご存じでしょうか。実は私の挨拶はこの歌詞からイメージをいただいたものです。というよりそのものかもしれません。「縦の糸はあなた、横の糸は私。織りなす布はいつか誰かを暖めうるかもしれない」。
紡がれた一本の糸から始まる布は様々な用途に使われることでしょう。それが人々の心をも暖めることができるとしたら、たとえ一人一人が弱い存在であったとしても、強く生きていこうと思えるのではないでしょうか。
映画の中で中島みゆきは言います。「同じ時代に生まれてくれてありがとう!」