到津の森公園

名誉園長の部屋 公園だより

震災について思うこと

 

甚大な被害にあわれ亡くなられた東北、関東の人々に心より哀悼の意を申し上げるとともに、いち早く災害地の復旧を祈念しております。
また、この災害を自己のものとし、一丸となって努力を惜しまない日本国民の力強さも感じることができました。しかし、未だ震災被害から抜け出せずにいる原子力発電所からの放射線で、その風評被害とも思える行動が散見することは返す返すも残念です。
私たちはもう一度自分の足下を確認する必要があるようです。

 

今、私たちの利便性や健康、さらには命を維持するすべは、誰から与えられているのでしょうか。高度成長期にインフラ整備と称して生活利便性を高める事業が推し進められ、現在もまだ進行中です。  
集中管理された巨大なインフラ整備に多くの利点があることを承知の上で、私はあえてローカルな施設を提案したいと思います。
今 回、原子力発電所一ヶ所の機能停止が、私たちが享受していた利便性にいかに多くの影響を与えるかが分かりました。今後、原子力発電を受け入れるか否かとい う論議はひとまず置くとして、どのような発電形態にしろ、もっと「小さな施設をいたる所に造ることが必要」だということなのではないでしょうか。これは危 険分散というだけでなく、構築されたネットワークで小さな被害を補完しあうという意味からも重要だと思います。
この小さな施設というのは何も発電所ばかりではありません。重要なインフラといわれる上下水道、道路、終末処理はもちろん、文化施設にも(もちろん動物園にも)及びます。地域の利益は地域の負担で共に分かち合うべきなのです。
何も都市間で競争し、巨大化することばかりが良いことではありません。
小さなことが良いことと思えるような世の中こそ、私たち日本人が一番大事にしてきたことなのではないでしょうか。

 

 

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