名誉園長の部屋
仙台にパンダを?
2011年10月18日
前回、小耳に挟んだという復興救済に「パンダを!」という話はどうも本当だったようです。
新聞紙上では震災に疲れた子どもたちに勇気と夢を与えたいということが理由の一つとして語られていました。
子どもたちに夢を与えると言えばそれが全ての免罪符となると思うのは私たち人の社会でのこと。
反論できない見せ物になる動物側からの視点が失われているような気がします。
パンダは「物」ではありません。これがパンダなら許せてゴリラなら許せないという感情論で話を進めるつもりもありません。地球に乗り合わせた生きもの同士として人以外を「物」扱いすることに異論を唱えたいと思います。
過去、動物園が子どもたちに夢を与えて来たことを否定するわけでもありませんし、これからもそのような夢を与えることも必要でしょう。しかし、それは近年極端に減少する自然環境を考慮した上のことではないでしょうか。
子どもたちには「物」で一時の満足を与えることではなくて、劣化の一途をたどるこの環境をともに考えることにより、豊かな未来を想像させることこそ一番重要なことではないでしょうか。
安易な方法で満足感を得てもそれが一過性であれば後顧の憂いを残すばかりです。
少なくともこれからの動物園は恒久的な地球の幸せを考える場だと思っているのですが。