到津の森公園

名誉園長の部屋 公園だより

SAGAに参加して

SAGAというのは佐賀のことではありません。

Support for African / Asian Great Apes の頭文字です。

「SAGA(アフリカ・アジアに生きる大型類人猿を支援する集い)」といいます。

そのシンポジュームに招かれて(来年、到津の森公園でそのシンポジュームを開催するからなのですが)、会場の多摩動物公園に行って来ました。

類人猿の飼育に関わる人々(動物園関係者)や野生の研究、保護に関わる人々など多くの方々の参加がありました。

動物園が開催場所ということもあって動物園飼育員が見た野生の類人猿の姿を報告したり、野生の類人猿の研究者が動物園に期待することなど、研究発表や報告が活発になされていました。

私が動物園に勤め始めた頃には研究者と同じ場所で討議することなど考えられないことでしたから隔世の思いを感じました。
それだけ現在の動物(人を含めて)を取り巻く環境の悪化を実感しています。

その中で、京大の山極先生の言われたことがとても心に残りました。

「動物園や野生の動物の研究から何が導きだされるのか?」というお話です。
二つあって、その一つは動物を通じて人と人との「縁」を作るということでした。ともに動物の個体を知っている専門家(プロ)として互いに情報を交換しあえば、必ず何か新しい結果を導き出せる。それはその周りの人々にも影響を与えると言われるのです。
もう一つは野生の生活を知ることは世界を救うということでした。個体を知っていることはその個体を愛していることに繋がり、またその種を愛していることに 繋がります。「愛は世界を救う」というTVの番組ではありませんが、今、私たちがしている活動こそ世界を救う実践的な活動なのだと言われます。

(私は今まで自分を変えるのはネットワークだと言ってきましたが、これからは「縁」と言おうと決心しました。日本人だから…。)

山極先生のお話を受けてSAGAのお世話役でもある京大霊長類研究所の松沢先生がこう結びました。

「山極先生は『縁』だとおっしゃいましたが、私は手と手を結ぶことだと思います。そこから新たな出発と発見があるのです。SAGAを辞書で引くと北欧中世の大河伝説の意味もあります。それと同じように長い長い活動がきっと実を結ぶはずです。」

私たちが漠然と行ってきた個体識別や動物の飼育が専門家の方から背を押され新たな歩みを始めました。
でも共に歩む友がいるということはとても力強い。

長い間住んでいた動物園という井の中にから大海に這い出たら、そこには別の世界が待っていました。

私たちは今、動物園の新たな歩みを始めます。
あなたも一緒に歩いてみませんか?

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