名誉園長の部屋
マダガスカル(その3)
2004年8月 7日
煙をあげる森
マダガスカルは進化から取り残された島だと言われます。この島には他の地域には見られない動物が多く棲んでいます。その筆頭がアイアイでしょう。特殊に進 化した指はクルミのような硬い実をほじるのにとても適しています。彼らはこの島にいないリスの役目を持っているとさえ言われています。
よく知られているワオキツネザルもマダガスカル島のみに棲むサルです。
東側の沿岸部には多くの雨が降りますが中央高地、西側は乾燥した空気が流れ込みます。約500年位前から人々は中央部の森林に住み、牧畜の餌のために森に 火をつけ焼畑を行なうようになりました。その結果多くの森林を失うことになり、一方乾燥した地域では森林回復には気の遠くなるような時が必要なので多くの 動物がその住処を失うことになりました。
世界最大の鳥類「エピオルニス」、チンパンジーほどの大きさがあったといわれるキツネザル。これらの動物がほんの500年前まで生きていたのにと思うとと ても残念です。しかしこの状況は現在までも続き、森林は焼失し連続性を失いパッチ状にしか存在しません。動物は狭い範囲でしか生活できず、遺伝的多様性を 失いつつあります。
この写真は中央高地を横切る飛行機の上から撮影したものです。これ以外にも移動するあちこちで焼けた森や野原を見ることができます。なによりも衛星「インテルサット」は森の燃える炎がいたるところ見える夜のマダガスカルの様子を残しているというのは心が痛みます。