名誉園長の部屋
モンゴル報告その3
2003年1月15日
動物を見に行き、人を観察する…というのも異なものですが、私たちが生活する日本の日常とあまりにもかけ離れた生活を見聞きすると人がその地に執着する理由は何なんだろうと思ってしまいます。
雲ひとつない紺碧の空の下、周囲に風除け塀のある人家が百棟ばかり砂漠の中に肩を寄せるように佇んでいます。これが街。子供たちの学校、やや町外れに共同 井戸。モンゴルでは一年を冷凍庫の中、冷蔵庫の中、そして冷蔵庫の外と三つの期間に分けられます。その一番過酷な外気-40℃にもなる冷凍庫の中のおよそ 四ヶ月にわたる季節を街で過ごす。
そして春を迎えてやがて人は草を求めて草原へ出て行く。こうした遊牧の生活を続けてきた人たち。一つの地に留まる事をせず遊牧を選びその遊牧に誇りを持つ 人たち。定着し農耕をした私たち日本人との違いが気になりませんか?動物は生息地に適応する形に進化したのですが人は知恵をもって生息地を拡げていったの です。牧畜には牧畜の、農耕には農耕の、漁労には漁労のと、人々は今の私たちにない知恵を持っています。その知恵と人を知りたい…動物学もいいけど人類学 もいいぞ!!