動物たちのおはなし
姫が亡くなり1ヶ月がたってしまいました。しばらくは姫を探しているのか?呼び鳴きをしているファボスでしたが、少しずつ落ち着いてきています。
これまでは毎年のように順調に繁殖を行っていた姫とファボスでしたが、
昨年だけは繁殖行動は見られたものの
うまく育雛することができませんでした。
孵化はしたのですが、残念ながら雛は育ちませんでした。
それが姫とファボスのペアでの最後の繁殖となってしまいましたので、
その模様を少しこちらで紹介させていただこうと思います。
昨年の4月頃にファボスが姫にマウスのプレゼントをしたり一緒に鳴き合ったりと求愛行動が見られていたため、巣箱を設置しました。
設置するとすぐにファボスが中に入っていき”ゴンゴンゴン”と巣箱の中を突き巣作りを始めました。
すると4月22日に1個、24日に1個、27日に1個と合計3個産卵してくれたのですが、3個中2個は中止卵でファボスと姫が巣箱の外に出し割れているのを発見。残った1個は孵化予定の日を超えても孵らなかったため5月27日に取り上げることになりました。
卵を取り上げた次の日にはファボスも姫もやる気満々で、6月に入るとまた求愛行動が始まりました。
すると6月11日に1個、14日に1個、17日に1個とまた3個産卵しました。
2羽で交代しながら抱卵している様子
ファボスはすごく子育て熱心で姫が抱卵していてもすぐに代わるよっと巣箱の中に入っていました。
6月26日に検卵をすると3個中2個が有精卵ということがわかりました。
検卵時の様子
心臓が動いているのが見られ1個は22g、もう1個は19g
7月6日ついに1卵が孵化、7月8日に2卵目も孵化しました。
2羽とも産まれた時の体重は17gしかなく手のひらにすっぽりおさまるほどの大きさでした。
初日の体重を量っている様子
ピンクマウスを切ったものをファボスや姫に渡すと自分では食べずに雛に所に持って行き、
”食べて食べて”と押し付けるぐらいの勢いで育雛していました。
無事に育ってくれればなと、スタッフ一同願っていました。
孵化してから3日後の7月9日ファボスが何かを咥えているのを発見。最初はトカゲとかを捕まえて食べたのかと思いました。気になったので獣舎の中に入り巣箱の中を見てみると、雛が1羽いないことが分かりました。ビデオを確認してみると16時頃に雛が動かなくなっており15分後ぐらいに巣箱から持ち出しているのが映っていました。残った1羽はまだ生きており、元気に育ってくれればと願っていたのですが、7月10日の5時39分頃に亡くなっており、その後巣箱から持ち出すのが映っていました。
その後は巣箱を突いたりプレゼントをするのを見ることができたのですが、
産卵をすることはなく昨年の繁殖は終わってしまいました。
姫は2012年3月に当園に来園以降、
♂のファボスととても仲が良いペアで、
たくさんの卵を産み育ててくれました。とても育雛上手な母鳥でした。
来園して12年をふりかえってみるとたくさんのことが
思いだされます。
来園する際、少し気が強い♀というお話を聞いており、
ファボスとの同居はうまくいくかな~?と心配していました。
初めてのファボスとのお見合いの時には、ケージを開けるとファボスにいきなり襲いかかり、
あわてて引き離したこともありました。
しかしそんな心配をよそに、ケージごしでお見合いをすすめると
すぐにファボスとなかよしになり、あっという間に巣作り行動がみられるようになり、
来園してからわずか2か月と少しで、初めての産卵・育雛をしました。
それからはず~っと初めのケンカが嘘のように仲良し夫婦でした
今年の姫(右)ファボス(左)
当時、当園でのワライカワセミの繁殖は初めてだったので私たちスタッフもドキドキでしたが
姫とファボスは本当に最初から落ち着いており、とっても子育て熱心で、6回の繁殖で8羽もの雛を育ててくれました。
毎回、いつも姫もファボスもしっかり交代で卵をあたためていました。
まるでお互い交代するよ交代するよと言わんばかりに・・・
抱卵している姫の横でいつもファボスがよりそい、
ムギュ~っとくっつき、いつも仲良く2羽で巣箱にはいっていました。
仲良く巣箱で抱卵している 姫(右)とファボス(左)
交代に入るとまっすぐな嘴でそ~っと卵をやさしく転がし、
これまたそ~っと上手に器用に胸元へ入れます。
それから左右に少しユサユサと揺れ
フワッフワッの胸の中で卵のポジションをおちつけ抱卵上手な姫。
孵化が近づくと、姫は捕まえた獲物をまだ孵っていない抱卵中の卵に向かって
餌をさしだしていることもありました。
まだ卵の雛に餌を持ってきた姫
巣立った雛へ餌をはこんでいく姫
新たな行動を観察するたびに、鳥ってすごいな~っと何度も何度もたくさん感心させられました。
姫(上)とファボス(右下)と巣立ちびな。
今までたくさんの事を教えられました。今までほんとうにありがとう姫ちゃん。
ワライカワセミ担当 福島 小林