動物たちのおはなし
みなさんこんにちは
今回はゾウの飼育管理におけるチェーンと手鉤の使用について、
お問い合わせをいただくことがあるため、この場を借りてお答えさせていただきます。
まず、チェーンでの繋留についてですが、一日中繋留しているというわけではありません。
当園の2頭のゾウ「愛称:サリー」と「愛称:ラン」は以前大きな闘争を行った経緯から、通常午前と午後交代で運動場とお部屋に分かれて生活しています。(詳しくはこちらをご覧ください→https://www.itozu-zoo.jp/blogs/animal/2023/01/12376.php)
一日の中で9:30頃から10:30頃の間、運動場で健康チェックと蹄の手入れを行ったあと、お部屋の掃除をするのですが、その間運動場で2頭一緒に朝ごはんを食べて待ってもらいます。
その間はゾウ同士のトラブルを防ぐためチェーンで繋留しています。
(朝ごはんを食べた後、新しい砂に触れる2頭の様子)
また、お部屋と運動場の移動の際とお部屋で肢を洗うなどケアをする間も飼育員の安全を確保するため少しの間ですがチェーンでつないでいます。
それ以外の時間は夜間も含め、チェーンは使用していません。
そして、手鉤の使用についてですが、まず手鉤がどのようなものかというと
棒の先に鉤状になった金具がついており、これを使ってゾウの動きをコントロールするものです。
普段は号令や飼育員のサイン、ご褒美でコミュニケーションを取り、動きをコントロールしていますがゾウの気分によってはこちらの指示に応えてくれないこともあります。
しかし、どうしても指示に応じてほしい時、例えば健康チェックや体のケアを行うため座ったり、横になったりしてほしい時、ゾウに移動してほしい時、停止してほしい時などには必要に応じて手鉤を使用します。
現在、当園ではゾウと同じ空間に入ってお世話をする直接飼育を行っています。
ゾウと同じ空間に入る以上、飼育員には危険が伴います。時には命を守るため強い制御が必要になることもあります。
まずはそうならないために、日ごろからゾウとの信頼関係を作るよう努めていますが、必要を感じた際には少し強い口調でのゾウへの指示出しや、手鉤を使ったコントロールを行うことがあります。
と、簡単にではありますが、チェーンと手鉤の使用についてご説明させていただきました。
要点を押さえてお話したつもりですが、不明な点や気になる点等ございましたらお問い合わせいただければと思います。
ゾウは年齢を重ねるにつれて、新しい物事を受け入れづらくなってきます。飼育員が良いだろうと思ってやったことも受け入れてもらえないことも多々ありますが、これからも少しでもゾウたちが快適に過ごせるように飼育管理方法を見直していきたいと思っております。私たちも、いい年になってきたサリーとランに少しでも健康で長く生きてほしいという思いで飼育しております。
到津の森公園に足を運んでいただく方、遠くからでも応援していただいている方、
動物が好きな方ほど、多くの情報を持たれ、飼育方法に疑問を持たれる方も多いかと思いますが、
どうか温かい目で、時には厳しい目で、応援していただけると幸いです。