動物たちのおはなし
時間があいてしまいましたが、前回に引き続き、なぜオウムたちの環境を変化させるのかについてのお話です。
動物たちにとって“することがない=暇”というのは時に大きなストレスになります。特に、知能が高く好奇心旺盛な動物はストレスになりやすいです。そしてオウムたちもその一種です。
動物たち自身がストレスを回避する方法はいろいろとあります。その一つが、‟毛引き(羽毛損傷行為)”です。これは自らの羽をかじったり抜いたりする行為です。野鳥は広い空間を自由に飛ぶことができ、群れの仲間とコミュニケーションをとることができ、ストレスが発生しにくい環境です。また、外敵から身を守ったり食べ物を探したりと生き残るために追われるため、毛引きを行う余裕もありません。(↓スタッフがオーストラリアで撮影したキバタン)
一方、飼育されている鳥は限られた空間で外敵の心配もなく、食べ物にも不自由しないため、暇な時間が多くなり易い環境です。
リーは以前から毛引きをしてしまうことが度々ありました。このような羽毛が…
たった一晩で一気に胸の羽毛をむしり取ってしまうことがあります(↓ひどい時のリー)
ココの両後肢と背中は過去の激しい毛引きによりもう生えなくなってしまいました(現在、広がってはいません)。
そのため、いかに退屈させない(=毛引きさせない)ように、オウムたちが遊ぶ植物や段ボールなどを入れたり、止まり木を変えたりと環境を変化させ続けているのです。言葉にするのは容易なのですが、これがオウムたちとの知恵比べになりなかなか大変なのです。このお話はまた次回に。
補足:毛引きの原因はストレスだけではなく、遺伝的(鳥種、気質)・社会環境(育ち、環境)・生物学的(本能、学習)・医学的(疾病、感染症、栄養)という要因が関連した、多因子疾患と考えられています。
当園のリー、キック、ココの3羽だけで考えても、同じ環境でも毛引きの有無が異なることから、気質や育ち、学習などの影響もあると考えています。ご自宅の飼い鳥が同様の症状だった場合はお近くの動物病院へ相談して下さい。
二井