動物たちのおはなし
とある雨の日。
リクガメ広場から「ふーん!ふーん!」
と荒い鼻息が聞こえる。
(左:オカメ、右:ヨウ)
ケヅメリクガメのオカメがヨウに勝負を挑んでいる、いつもの光景である。
体格差を見れば歴然、いつもヨウが容赦なくオカメを押し切ってしまう。
オカメはこれまで、何度ヨウに負けたことか。
しかし、オカメはハートが強い。
この日も、先ほど勝負がついたにも関わらず、また勝負を挑もうとしている。
が、しかし・・・
その勝負もあっという間についた。
逃げるオカメ。
そんななか、第3ラウンドが始まった。
今度は、リクとヨウが勝負を始めた。
6月にもなると、ケヅメリクガメは繁殖の季節に入る。この季節、オス同士はよく戦う。
このカメ相撲はある意味、到津の森公園の風物詩のようなものだ。
さて、ではリクとヨウの勝負の行方をみていこう。
(奥:リク、手前:ヨウ)
写真ではわかりにくいが、体格差はリクがヨウよりひと回り大きい。
力だけ見ればリクが強いだろう。
しかし、ここで困った顔をしているのはリクである。
よく見てみると、リクの前足が浮いている。
これは偶然なのか狙ってなのかわからないが、ヨウがうまいことリクの下に潜り込んで下から突き上げているのだ。
こうなってしまうとリクは前足で踏ん張れず、ずるずると後ろに押しこまれるしかない。
さて、このまま勝負がついてしまうのか・・・。
そうこうしていると、リクが体勢を立て直した。
そして、しばらく膠着状態となる。
どちらも疲れたような顔でその場でたたずむ。
このまま勝負はお預けかと思った矢先、
ヨウの目に炎が灯った(ように見えた)。
そこからは早かった。又うまく下から突き上げ、ずるずるずると一気にリクを押しやってしまった。
そこでリクの心は折れた。
逃げるリク。
勝ち誇るヨウ。
ヨウは見事、体格差をものともせず勝ったのだ。