動物たちのおはなし
秋も深まり寒くなってきましたね
到津の森公園の紅葉もそろそろ終わりかもしれません。
きょうは夏から秋にかけてのチンパンジーのおはなしです。
まずは、11月12日にチンパンジーのみるくさんが熊本市動植物園にお引越ししました。
チンパンジーのメスは、性成熟を迎える11~13歳前後に生まれ育った群れを離れ、違う群れへと移籍します。
2006年に到津の森公園で生まれたみるくも、群れの仲間たちにもまれてたくましくなり、ここ数年はみんなから離れて一人で過ごしたり、クララやキララのあかちゃんに興味をもったりと心身ともにオトナとして成長していました。
(お母さんのイチゴさんから離れる練習中のみるく)
お引越しの前には、お母さんのイチゴさんから離れて一人で過ごす練習をしていました。
時折、イチゴさんを探して鳴くこともありましたが、次第に落ち着いて柔らかい表情をみせるようになりました。
むしろ、イチゴさんやお父さんであるマリオくんのほうが落ち着かなかったかもしれません。
熊本市動植物園のチンパンジー担当者の方々とは、みるくの性格や好きな食べ物、好きなもの、苦手なものなどについて細かく引継ぎをおこない、なるべく負担にならないように心がけました。
そして、11月12日に熊本市動植物園に向けて出発し、お昼前に到着。無事に輸送箱からお部屋へ移りました。
到津の森公園と熊本市動植物園のチンパンジー舎とでは、お部屋の広さや高さ、お部屋からお部屋へと移動するための構造、運動場などがずいぶんと違います。
新しい仲間たちも待っています。これから少しずつ新しい環境になれ、健やかに成長し、仲間たちと元気に暮らしていくことを願っています。
さて、みるくのお引越しの前には、新しい命が誕生しています。
2019年8月20日にクララのあかちゃんが生まれました。男の子でユパといいます。
ほぼ予定日通りにうまれ、早朝にお部屋を見に行ったところ、無事に出産し、しっかりと抱いた状態を確認しました。
(うまれてすぐの様子)
(へその緒がみえる)
出産の前から現在にいたるまで、母親クララは双子の姉妹であるキララと一緒に過ごしています。
6月にはキララのあかちゃんをめぐって、このような「ちんぱんじーたちのこと」出来事がおこっています。
しかしヒトの育児と同じで、母親一人ぼっちでの子育ては母親にとってもあかちゃんにとっても良い影響をもたらしません。
(寄り添うキララとクララ)
クララの最も慣れ親しみ信頼をおいているキララと一緒にすることで、安定した育児ができるようにしています。
(あかちゃんを抱いたクララに毛づくろいをするキララ)
(クララを十分に毛づくろいをして、そっとあかちゃんに触れるキララ)
母親のクララはもちろんキララもあかちゃんが愛おしいようで、時折近づいては毛づくろいをしています。
(母親のクララも安心してあかちゃんの毛づくろいを任せている)
あかちゃんのユパが少し大きくなってきたこの頃は、
おでこでグリグリ~とか
ぐりぐり
ぐりぐり
あごで
すりすり~
すりすり~とか、
バリエーションが増えた愛情の示し方をしています
ただ、これから10年、20年先のことを考えると、このままキララとクララ、ユパの3頭で過ごすだけではなく、ほかのメスやオスの仲間たちと過ごす必要があります。
あかちゃんにとって、母親以外との関りはとても大切です。
母親がほかのチンパンジーにあいさつをしたり、毛づくろいをしたり、喧嘩をしたり、仲直りをしたり。そんな様子を間近にみることで、子どもはほかのチンパンジーたちとの関りかたを学んでいきます。
そこで、現在キララ・クララ・ユパ/マリオ・イチゴの2つに分けているメンバーをいれかえながら、チンパンジー同士の関わり方に変化をつけていこうと考えています。
それにともない、12月初旬から日によってクララとユパの母子2頭、あるいは他のメンバーが見られない日がでてきます。チンパンジーたちとユパの成長のため、どうぞご理解ください。
来園された日にどのメンバーが運動場にいるかは、チンパンジービュー前の看板でお知らせする予定です。
これから寒くなってきますので、暖かくしてどのメンバーがどのように関わりあっているか、ぜひ注目して観察してみてください