動物たちのおはなし
9月の第3土曜日はレッサーパンダの保全活動を行っている
Red Panda Networkが提唱する
国際レッサーパンダデーです。
この日、多くの方にレッサーパンダについて広く知っていただくことを
目的として世界各国の動物園で様々なイベントを行っています
当園でも毎年イベントを行っているのですが、
今年は・・・
「野生のレッサーパンダに会いに!」というタイトルで
約1時間に渡りお話をさせていただきました。
初日は雨、翌日は台風接近の中2日間で
50名の方にお集まりいただき、
本当にありがとうございました
さて、実は今年の3月にRed Panda Networkが開催している
エコトリップツアーに参加してきました。
そこで見てきたこと、感じたこと、
生息地の様子や、保全活動の取り組みなどを
紹介させていただきました
どんな話だったのか?簡単にまとめてみました。
長くなりそうなので、2回に分けてお伝えしようと思います。
では、はじまりはじまり~
私たちが向かったのは、シセンレッサーパンダの故郷、中国…
ではなく、ネパール連邦民主共和国
ご存知無い方も多いかと思いますが
レッサーパンダには日本の動物園で多く飼育されている
シセンレッサーパンダの他に
ネパールやインドなどに生息する
ネパール(ニシ)レッサーパンダがいます。
今回の旅は、ヒマラヤ山脈のふもとに生息する
野生のネパールレッサーパンダに会いに行くツアーでした
参加してから知ったのですが
このツアー料金のなんと40%が保全活動費に充てられるとの事
(少しでもレッサーパンダの為に役立ててもらえて嬉しい)
はじめてのネパールへの旅
ネパールについて話したいことはたくさんあるのですが
長くなるので写真でお楽しみください
ネパールで1番有名なお寺スワヤブナート
カトマンズの街
街中の犬
気持ちよさそうにどこでもここでも寝ています。
この旅で犬は100匹ぐらい見た気がしますが、
猫は3匹のみ。
神聖な動物である牛は平気で道路に寝ていたり、
少し田舎へ行くとヤギがたくさん。
馬は観光乗馬や、荷物を運んでいる姿が見られました。
アカゲザルや、見ることはできませんでしたがラングール、
カトマンズの街中にはヒョウも現れるそうです
さて、カトマンズからレッサーパンダの生息地へ向かうのに
ヒマラヤ山脈を横目に飛行機で45分のフライト・・・
白いところは雲ではなく、雪
さらに途中1泊し、ジープに乗って2日
到着したのは標高2000mの山間部の村でした。
(昔は、この辺りにもレッサーパンダが生息していたんだそうです)
ここで地元の方のお家にホームステイさせていただき、
翌日、高地順応を目的としたトレッキング7時間!
(ちなみに、ばっちり高山病になりました)
たどり着いたのは…
*パシブバラ山から撮影
世界第3位標高8586mの山カンチェンジェンガの麓、
メチ県タプレジュン郡にあるパシブバラ山(標高3794m)
実はこの山頂にはネパールの人にとって
重要な寺院の一つでもあるパシブハラ・デヴィ寺院があり
生息地のすぐそばには1㎞に渡って石段の
参拝道が整備されていました。
たくさんの参拝客や土産物屋さんが点在しており、
レッサーパンダの生息地なんだから
ものすごい奥深い山を想像していた私はカルチャーショック
こんな場所にレッサーパンダがいるのか?と
心配になるようなところでした
参道にあった狛犬?ならぬ、狛獅子?
私たちが宿泊していた山小屋は標高2800mにあり、
ここからレッサーパンダの捜索に出るのですが
参拝道から少し入ればそこにはシャクナゲの木などが生い茂る山の中。
突然、霧が発生し、あっという間に回りが見えづらくなってしまいます
この雲霧林を歩きながら、まずは目印となるウンチを探します
ウンチは地面でも見つけることができましたが、
ほとんどは大きな木の又に堆積しています。
ほぐしてみると中身は竹の葉ばかり。
野生のレッサーパンダは竹類を95%
その他にも野生のキウイフルーツの仲間やイチゴの仲間、
ドングリやキノコ、カタツムリなども食べるそうです
野生のレッサーパンダが食べている竹です。
日本の動物園で与えている孟宗竹のような
大きな竹は自生していないだろうと思っていたので
どんな竹を食べているのか見てみたかったのです。
大きくても2mほどの竹というよりは笹の仲間のようです。
これが生息地にまばらに生えていました。
そして、もう一つの疑問
レッサーパンダの体の色について
英名ではRED PANDAと言われるほど
きれいな赤茶色をしているレッサーパンダ。
(特に、凌凌や笑笑はキレイな赤茶色をしてますもんね)
長年、この毛色が不思議で仕方ありませんでしたが、
その疑問も解けました
山の木にはレッサーパンダの毛色にそっくりな苔が生えています。
その苔にうまく似せることでカモフラージュしているそうです。
これは、現地でないと中々分かりませんが、
本当にうまい具合にマッチしているので、
素人目には苔か、丸まっているレッサーパンダなのか分かりません。
そんな環境に暮らすレッサーパンダに会える確率は
50%と言われていましたが
現地のフォレストガーディアン(森を守る人)の
協力によって探してもらいました
そして、そして、出会えたのが…
このレッサーパンダ
なんと10~12mほどの超至近距離で観察することができたのです
*こんな至近距離で観察できることは中々ないそう。
通常30mほど離れたところから望遠レンズや双眼鏡で見るのが普通だそう。
標高3150m。気温8℃の霧の中
レッサーパンダ発見の知らせを受けてから参拝道を上り、
山に入り、足元の悪い山道を進み・・・4時間・・・
出会えた瞬間
涙がダーっと!流れ出てきました。
人生の中で1番感動した瞬間でした
本当に会うことが出来てよかった
この個体は、昨年生まれの若い個体。
小さい体にも関わらず野性味溢れた顔つき。
そして、左目の下には野生らしくダニが付いているのが分かります。
およそ20分間。感動で打ち震える私たちを横目に、
彼(彼女?)は、深い森の中に消えていきました。
人の生活のすぐそばで暮らしているレッサーパンダ。
この山には、
多くても3~5頭しかいないそうです。
次回は、生息地の現状や保護に向けての取り組みのお話です。