動物たちのおはなし
――前回のあらすじ――
都井岬すばらしい!
さて、一行が次に向かうは、串間市の沖に浮かぶ無人島「幸島(こうじま)」!
沖に…と言っても、最寄りの砂浜からは目と鼻の先!
晴れ渡った青い空と、白い雲に幸島の緑が生えて美しいですね~!
いや~、
きれい
ホントきれいだな~
いや~
えーっと…
実はですね…
幸島に渡ることができませんでした…
実はこの時、うわさの台風10号さんが宮崎県のはるか南でモジモジしてらっしゃいまして…写真では伝わらないかと思いますが、風は強く、波は高いというあいにくな天気でした…。
そんな状態では幸島へ向かう渡し船も当然欠航。ちっくしょー!!!
そこで、幸島のニホンザルについて長年研究を行っている「京都大学野生動物研究センター」の職員さんに、じっくりとお話しを聞く場を設けていただきました!
実はこの幸島、日本における霊長類学はじまりの地。
1948年に御崎馬の研究をしていた若き研究者(今では霊長類学界の重鎮の方々です)がニホンザルに興味をもち、都井岬からすぐのところに多くのニホンザルが生息する島=幸島があったことから、研究がはじまったそうです。
ちなみに、世界的に見ても日本は霊長類学がとても進んでいる国!いわゆる先進国と呼ばれる国のうち、霊長類が生息しているのは日本くらいのもの!現在でも続いている国際的な霊長類学術誌も、日本で創刊されたものです!この幸島にも、海外から多くの研究者が訪れるそうですよ!
幸島での研究は、「個体識別」を抜きにして語れません。
個体識別とは、一頭一頭の「個体」を見分ける(「識別する」)ということ。
動物園などでは、健康状態や病歴、血統などを管理する目的で個体識別が行われています。
その個体に愛着をもっていただくために、「ゾウの○○くんだよ」「チンパンジーの△△さんだよ」といった具合に、みなさんにご紹介することも多いですよね!
幸島では、1952年には生息するニホンザルの個体識別に成功し、現在でも約100頭に増えたニホンザル全頭が識別されています。それぞれに名前もついているんです!そのおかげで、それぞれの戸籍や家系図のようなものをつくることができ、さまざまな研究に大いに役立っているようです!
対象となる動物に名前を付けて見分けるこの研究手法は、ここ幸島から世界に広がったそうです!今では世界各地の研究者たちが、当たり前のように行っています!
幸島では、研究のために餌付けを行っている過程で、ニホンザルが水でサツマイモを洗ってから食べる「イモ洗い」行動が発見されました。1953年のことです。1歳の子ザルがはじめたこの行動が、血縁関係があるサルや親しいサルに伝わるように広がっていったといいます。この発見がもととなり、「人間以外の動物にも『文化』がある」ことが分かったのだそう。
ちなみに、文化とは「ある行動が『生成』され、『伝播』し、『継続』していること」を言うそうです!
その他にも、ここには書ききれないくらいたくさんのお話を聞くことができました!
あああ!!!幸島に渡りたかった!
私がウサイン・ボルト選手なら、19秒で走り切れるくらいの距離しかないのに!海だけど!
とは言っても、自然を相手に学ばせていただく以上、こればっかりは仕方がないですね…
後ろ髪を引かれながらも、砂浜を後にしました…覚えてろよ!次に会った時は上陸してやるからな!
今回のツアーでは、たくさんの新たな発見がありました。今回の発見は自分の中でしっかりと咀嚼し、自分の言葉でみなさまにお伝えしていきたいと思います!
それでは、長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!