動物たちのおはなし
――前回のおさらい――
宮崎県串間市にある、都井岬を訪れた一行。
晴れ渡る空と澄んだ空気の中、彼らを待ち受けるものとは・・・!?
はい、御崎馬のはく製と、宮崎県串間市役所で主任文化財専門員をしていらっしゃる秋田さんです。
秋田さんは、御崎馬に魅せられて宮崎に移り住んだという、静岡県出身の御崎馬大好きさん!なんでも、御崎馬を研究するために大学を選び、御崎馬についての仕事をするために串間市役所に勤めているという筋金入り!モノホンですモノホン!
秋田さんに詳しい解説をしていただきながら、いざ、御崎馬の観察へ…
すると…
いたあああ!!!
普通に歩いてます、御崎馬。国指定の天然記念物です、御崎馬。
車を降り、観察スポットの草原へ…
すると…
絶景と馬フン!(右下)なんというコントラスト!
そこらじゅうに御崎馬の存在を感じることができます!
御崎馬が集まりやすいという丘を登ると…
いました!御崎馬の群れです!
秋田さんによると、2つの家族がたまたま交差するタイミングとのこと。現在ではおよそ100頭が生息している御崎馬ですが、すべての個体に管理番号があてがわれていて、ほぼ毎日点呼(生存確認など)が行われているそうです。
いやー、絵になります!御崎馬たち、実に自然な表情を見せてくれます!
実はこれ、動物と人との距離感がうまく保たれていないと撮れない写真なのです!
人が野生動物に食べ物を与え続けていると、動物たちは「人=エサ」と覚えてしまい、人を見るたびに近くに寄ってきてエサの催促をするようになる恐れがあります。一見人懐っこくて可愛らしく見えますが、その姿は「自然」とは言えないでしょう。
また、人が野生動物に対して高圧的な態度を見せたり、必要以上に干渉(追いかける、触る)し続けたりしていると、その動物たちは人を恐れるか毛嫌いして、姿を見るだけで逃げていくようになるかもしれません。
「御崎馬は『野生化馬』です。本当の意味での『野生馬』は、世界からすでに姿を消しています。」と秋田さん。御崎馬は、もともと日本に生息していた「日本在来馬」の一種で、古くは江戸時代に、優秀な軍馬として牧場で飼育されるようになったのだとか。
その後、明治時代になると、日本在来馬特有の小さなからだを大きくする目的で、外国産馬と掛け合わせる政策がとられます。御崎馬の体高(地面から肩までの高さ)は140センチほど。大きく分けるとポニーと呼ばれる大きさです。その結果、純粋な御崎馬は消滅してしまったそうです。いま見ることが出来る御崎馬は、「外国産馬の血は混じっているが、御崎馬の特徴を保持しているもの」だそう。
現在では一切エサを与えず、「野生に限りなく近い状態」で見守られています。
ちなみに、御崎馬が死んでしまっても、特に何もしないとのこと。動物の死体は様々な生き物によって少しずつ分解され、やがては土に帰ります。その土からは青々とした草が萌え、多くの生物が暮らすための礎となるのでしょう。100頭という生息数は、現在の都井岬の環境に適した数らしく、毎年死んでしまう個体がいれば、新たな命も産まれて維持されているそう。もちろん、繁殖にも人の手は一切関わっていません。
秋田さんの受け売りを長々と書いてしまいましたが、これが「野生化馬」とよばれる所以なんですね!
お話を聞きながら、人と生き物のちょうどいい距離感ってどのくらいなのかな、などと考えてしまいました。
今の私にその答えは分かりませんが、そんなことを一緒に考えられる場として、動物園が街に存在していけたらいいなぁ…と思います!
はっ!長くなってしまいましたが、ツアーはまだ終わっていません!次は幸島(こうじま)のニホンザルについてのお話しですよ~!
ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます!ものはついでです!もうしばし、お付き合いくださいませ~!