動物たちのおはなし
これからの季節、ヘビは冬眠に入ります。今の季節は稲刈りも終わって田んぼの中も見やすいですし、畔の草も刈られて枯れたり成長が遅くなったりして見やすくなっています。今が一番野外でヘビの脱殻を見つけやすい時期ではないかと思います。先日もちょっとフィールドに出てきたんですが5つの脱殻を見つけました。
すでにボロボロで種類がわからなかったものもありましたが、脱いだばかりのまだ濡れているものもありました。その中でシマヘビとヤマカガシは判別することができました。
=いろいろな抜け殻=
(①ジムグリ ②シロマダラ ③マムシ ④アオダイショウ ⑤シマヘビ)
なぜに脱殻だけで種類がわかるのか...それは模様が残っているからです。
ウソです。
それだけではわかりません。もちろんそれだけでわかることもありますがいまいち確実とはいえません。蛇は種類によって体の鱗の列数が決まっています。体鱗列数といって体の真ん中の部分の鱗をぐるっと1周数えます。「体の真ん中」これがポイントです。前過ぎても後ろ過ぎても鱗の列数は変わってしまいます。もちろん採集場所がわからないとどの種類かには辿り着きません。だってヘビって日本だけでも42種もいるんですから。
ちなみに、ニホンマムシは21列、アオダイショウは23~25列です。
こうしてみるとあることに気がつきませんか?全部奇数ですよね?ほとんどのヘビは背中線の鱗が1列なので奇数になります。余談ですが中国南部から東南アジアに分布するカサントウの仲間は背中線の鱗が2列なので偶数です。奇形の鱗をもった個体もけっしてまれではないので何ヶ所か数えてみた方が正確です。もし背中側の鱗が奇形だらけでどこを数えてもバラバラな場合はお腹の鱗と尻尾の鱗の枚数を数えます。これは種ごとに決まっているわけではありませんが、だいたい○枚~○枚というように決まっているのでおおよその見当をつけることができます。さらにいうと鱗の形状なんかも判断材料になります。ニホンマムシやヤマカガシの鱗には目立った隆条があるためザラザラしているので見分けやすいです。 なぜに今ごろ脱殻かというと、ちょうど里のいきもの館で「もりのおとしもの展」をやっているので紹介もかねてヘビの脱殻のお話にしてみました。